本文へスキップ

医療又は福祉の増進を図る活動 Japan Medical Welfare Council

ラドンを吸い込むとradon

1.ラドンの濃度と人体影響

 ラドン(Rn)は化学的に安定した不活性気体で、空気とともに呼吸により人体に吸入されますと、そのあと原子核壊変によりポロニウム(Po)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)を経て最後の安定した鉛に変わるまでにα線、β線、γ線(放射線)を放出します。殊に血流に乗って全身に影響を与えます。これらの放射線は主として水の分子をイオン化することによって人体組織に影響を与えますがその評価の方法は複雑です。

国連の放射線の影響に関する国連科学委員会UNSCEARの方法によると、空気中の1Bq/㎥の濃度のラドンを一年中(8760時間)吸入することによる人体影響は25μSvと評価されます。したがって106、即ち百万Bq/㎥の濃度のラドンを1時間吸入した場合は106×25×10-6÷8760=2.8538×10-3Sv、すなわち2.85mSv(ミリシーベルト)となります。ラドンの濃度や吸入時間が変われば、比例関係で計算すれば任意のラドン濃度や吸入時間の影響を評価できます。

文献(1)によると約10mSv/分までの放射線量は低線量率とされていますのでこの2.85mSv/時間(0.0475mSv/分)は十分に低線量率です。1週間に3回、4週間(1ヶ月)、毎回百万Bq/㎥のラドンを1時間吸入すると毎回1時間の吸入12回で合計2,85×12=34.2mSvとなりますが、このレベル程度の放射線の影響は、これまでの放射線病理学の経験によれば、人体に障害を与えるものではありません。

250mSv以下の急性(瞬間的な)被曝でも臨床的影響は一切みられないとの定説がかなり古くから言われていますが、福島での原発事故の際のように少量の線量を長時間浴びた場合やある時間間隔で低レベルのラドンを度々吸入する場合(即ち低線量率の場合)は、人体影響への許容レベルには急性被曝に比べて一桁以上の余裕がある(2)ようです。文献によると積算線量が3Gy(3000mSv)まで発がんがみられないとの報告(1)もあります。